« 「夕空」草を食む | トップページ | 初夢龍眠2012 »

『小さなよっつの雪だるま』/長谷川集平の新境地

Photo_2                         ●≪『小さなよっつの雪だるま』/ポプラ社≫

*

日曜日 ―。

*

91歳になる叔父の見舞いに行って来ました。                                  食欲もあり、元気そうで何よりでしたが、                                  すでにぼくが何者であるのかを、認知することは出来ません。 

一家の長であるこの叔父に、                                       訊いておきたかったこと、話してみたいことなどが                                ぼくにはたくさんあります・・・・・・。                                                                           

*                                                                 ・・・・・帰る際にはいつも叔父の手を握ります。

*

1階の病室の窓からは、                                          赤く色づいた南天の実が見えました。                                                                                

                                                                                                       

       *    *    *

*

先月より探していた長谷川集平さんの                                       「新作絵本」を、国道2号線沿いの大型書店で                                                                                                                         ようやく見つけることが出来ました。

*

児童書コーナーの「クリスマス絵本」に囲まれて、                                  何やら遠慮がちに一冊だけ置いてありました。                                    

*

タイトルは、『小さなよっつの雪だるま』(ポプラ社)。

*

思っていたよりも、ずっと小さなサイズの絵本。                                   そのためか、帯のコピーが目に飛び込んで来ます。 

*

                                                           生きていることの幸せや、

命をつないでいくことの尊さを、                                

やさしく静かに語る、

長谷川集平の新境地

*

*

今回の作品の内容を短く、見事に伝える言葉です 。

*

長谷川集平さんは、絵本作家として30数年の                                     キャリアがあります。                                                  それ故、この「新境地」という言葉には説得力というか、                              時間のもつ信頼感のようなものを感じさせます。 

*

一昨年、京都在住で、画家として幅広く活躍をされている                         男性の方とお話しする機会がありました。

*

長谷川集平さんと同年齢・同じ美術学校のご出身。                         そのことをお訊ねすると、「“あの本”が出たときはビックリして、                           本屋に並んで買いましたよ」と、1976年に『はせがわくんきらいや』が                       発表された当時の美大生の様子などを話して下さいました。 

*

          *    *    *

長崎に暮らす小学生の女の子が成長し、京都の美術学校に進みます。                       やがて男の子の母となった彼女は、京都に暮らしながら自分の子供時代や                  家族のこと、ふるさとの情景に思いをはせる身となります。                           そして、『小さな絵本』をつむぎ始めます―。

*

絵本の中ほど。長崎港から五島(列島)へと向かうフェリーが                                         大きく描かれている場面が登場します。                                    (ぼくがもっとも気に入った画面です。)

すこし目の粗い紙の上に、鉛筆の濃淡を用いて描かれた                                                             モノトーンの情景が印象的です。                  

この場面を境に、主人公である女の子の人生も                                大きく動き始めるのです。

*

おそらく、『小さなよっつの雪だるま』を手にとって                             “ビックリ”する読者はいないでしょう。                                 (かっての美大生たちのように。) 

むしろ本作で描かれているのは、                                      京都・清水寺で「絆」と露骨に揮毫されてしまった                          “今年の流行語”よりもはかなく尊い、小さなもの。

30数年間、絵本を贈り続けてきた「ひとりの作家」のみが                           “やさしく静かに語る”ことが出来る「新境地」です。

*

探してみて下さい。

*

Photo_5                                  ●≪長崎・神ノ島にて≫

*

*                                                                                                                                        (2011/12/14)

                             

                             

                                   

                                      

 

« 「夕空」草を食む | トップページ | 初夢龍眠2012 »